2010/12/04
香港住宅市場投機の「特別印紙税」最大15%香港政庁が不動産投機売買に対する規制を強化している。香港特区政府は今年に入り、バブル抑制を目的に、2月、4月、8月、10月と立て続けに市場抑制策を打ち出してきた。特区政府がいよいよ発表した、「本気」の投機過熱抑制策とは…。 香港特区政府は19日、米国の量的緩和第2弾(QE2)を受け、香港住宅市場のバブル懸念が高まったとして、香港不動産の投機売買に対する規制を強化する政策を発表した。最大15%になるとされる、不動産投機にかかる「特別印紙税」。購入後2年以内に不動産物件を転売した場合は、通常の印紙税に加え「特別印紙税」として最大で物件価格の15%を課税するという。併せて住宅ローンの融資上限を引き下げ、投機筋の資金調達を制限する模様。果たして、この対応策は不動産売買に冷や水をかけることになるのか?!詳細はクリックしてお読みください。お知らせ!
特別印紙税は、物件転売までの期間に応じて3段階の税率で課税する。6カ月以内に転売した場合は15%、6~12カ月は10%、12~24カ月は5%で、短期売買ほど税率が高くなる仕組みだ。実需に配慮し、2年以上所有すれば課税対象とはしない。

通常の印紙税率は最高4.25%。最高税率が適用される2,000万HKドル(約2億1,500万円)の物件を半年で転売した場合、特別印紙税を合わせて19.25%を課税されることになり、385万HKドルもの納税義務が生じる。

さらに、これまで2,000万HKドル未満の物件に対して認めていた印紙税の納付猶予措置を打ち切り、契約から30日以内に納税することを徹底するとした。


■高級住宅への融資は5割まで


香港金融管理局(HKMA)も同日、政府と足並みをそろえ、投機物件をターゲットとしたローン引き締め策を発表した。800万HKドル以上の住宅および非自家用目的の不動産取引を対象に、銀行が融資できる金額の上限を引き下げた。

特に1,200万HKドル以上の住宅については、従来は価格の6割までとしていた融資上限を5割へ引き下げた。また、企業名義で所有する物件は非自家用とみなし、住宅、工業物件、商業物件を問わず、物件価格にかかわらず一律5割までしか貸し付けを認めないとした。

800万~1,200万HKドルの住宅も融資比率の上限を7割から6割に引き下げ、同時に融資額の上限は600万HKドルとする。800万HKドル以下の住宅は従来通り7割ローンが可能だが、融資額は480万HKドルが上限となる。融資額に上限を設けるのは、融資比率が引き締められる上位価格帯よりも多額の貸し付けが可能とならないよう整合性を取るための措置。

特別印紙税、ローン引き締めとも20日以降の成約分から適用される。
――特別印紙税率――

・6カ月以内の転売……15%

・6~12カ月での転売……10%

・12~24カ月での転売……5%


――不動産融資上限の新ガイドライン――

・1,200万HKドル以上の個人住宅……物件価格の6割から5割に引き下げ

・800万~1,200万HKドルの個人住宅……物件価格の7割から6割に引き下げ(金額上限は600万HKドル)

・800万HKドル以下の個人住宅……物件価格の7割に据え置き(金額上限は480万HKドル)

・非個人住宅・企業名義の物件……物件価格にかかわらず一律5割